亜鉛めっき
母材表面に亜鉛を析出させることによって、亜鉛が持つ機能や特性を製品や部品に付与します。代表的な防錆処理として広範囲な分野で活用されており、主に鉄製品の防食に極めて効果的、かつ経済的です。
鉄製品は水や空気にさらされ続けることにより腐食し、錆が生じてしまいます。鉄が腐食した場合、外観が損なわれることはもちろん、強度や耐久力も低下してしまいます。
亜鉛めっき加工による亜鉛皮膜は、鉄よりもイオン化傾向が高いため、鉄よりも早く酸化するという特徴も持っています。そのため、表面に傷がついて中の鉄が露出してしまった場合でも、周囲の亜鉛が優先的に酸素と結びつくことで不動態である酸化皮膜を形成し、鉄の腐食を防ぐ効果があります。この現象を犠牲防食といいます。
また母材の鉄が露出してしまった場合に、露出した鉄が錆びてしまう前に周辺の亜鉛が溶け出し、再度鉄を覆います。そのため、亜鉛めっきは非常に高い防錆効果を誇ります。
亜鉛めっきはその防錆機能を高めるために、本処理後に化成処理と呼ばれる後処理を施します。主な化成処理として、クロメート処理が挙げられます。クロメート被膜には防錆力を高めるだけでなく、亜鉛皮膜の変色を防ぐことや光沢を持たせて見た目を良くするといった役割もあります。
当社では製品仕様に合わせ、様々な浴種・設備を導入し、お客様のニーズにお応えしています。
対応規格等 |
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JIS H 8610 電気亜鉛めっき |
JIS H 8625 電気亜鉛めっき上のクロメート被膜 |
ISO 4520 電気亜鉛めっき上のクロメート被膜 |
RoHS指令など環境規格 |
亜鉛めっき(ラック方式)
ラック方式はめっきする素材を吊り下げながらめっき液に漬け、処理を行う方式です。素材が変形するリスクが少なく、均一な膜厚を得ることができるため、高精度なめっきを必要とする製品に適しています。
当社では主にシアン浴やジンケート浴の浴種(液組成)を用いためっきを行わせて頂いております。
シアン浴
代表的な亜鉛めっき浴種で、広範囲な分野で活用されています。シアン浴の特徴として緻密なめっき層が得られ、均一電着性に優れているため、複雑な形状や皮膜の精度を求められる製品に適しています。また不良品の原因となるウィスカ(金属表面に針状やノジュール状に成長した金属結晶のこと)や割れが発生しづらく、電気製品等に活用されています。
ジンケート浴
有害物質であるシアンを用いておらず、排水処理性が比較的容易なため、環境負荷の低いめっき浴種です。 シアン浴の代替処理として、シアン浴に近い良い品質のめっきが可能となっています。めっき被膜均一性に優れ、近年特にニーズのある三価黒クロメートの色調に優位性を発揮します。
メッキ浴種 | クロメート処理 | 処理実施工場 | ||
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横浜工場 | 川崎工場 | |||
シアン浴 | 三価クロメート | 青 | ○ | |
黄 | ○ | |||
ジンケート浴 | 三価クロメート | 青 | ○ | |
黄 | ○ | |||
黒 | ○ |
亜鉛めっき(バレル方式)
バレル方式は、容器内にめっきする素材を入れ、回転させながらめっきを行う方式です。一度に大量の素材をめっきできるため、比較的コストを抑えることが可能になります。
当社では主に酸性浴でのめっきを行わせて頂いております。
酸性浴
めっき浴に環境負荷の高い物質を用いておらず、環境負荷の低いめっき作業が可能となります。電流効率が良好でめっき速度が速く、めっき処理中に水素脆性(水素の発生による母材への悪影響)を殆ど生じません。また連続ベーキング炉によってめっき後の水素脆性処理を行うことで、水素の影響を取り除くことが可能です。このため、ネジなどの製品に適しております。バレル方式のため経済性に優れた亜鉛めっきの中でも特にコストパフォーマンスが高い処理方法です。各メーカー様の仕様に応じた処理を行っております。
めっき浴種 | クロメート処理 | 処理実施工場 | |
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横浜工場 | |||
酸性浴 | 三価クロメート | 青 | ○ |
黄 | ○ | ||
黒 | ○ |
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お問い合わせ お気軽にお問い合わせください。無電解ニッケルめっき
ニッケルは錆びにくい性質を持つ金属であり、色調や強度、強磁性などは鉄に似ていますが、鉄のように錆びることは比較的なく、高い耐食性を持っています。数あるめっきの中でも硬度が高い皮膜を形成することが可能です。
YCコート(メタスYC)
YCコート(メタスYC)は亜鉛・アルミの金属フレークとクロムフリーの特殊バインダーで構成される、焼付け型防錆コーティング処理です。亜鉛とアルミのフレークが重なり、有機金属バインダーによって強固に結着します。
電磁波シールド樹脂めっき
電磁波シールド樹脂めっきは、プラスチックの表面に均一な金属膜を形成することで、プラスチックの物性を活かしながら。金属材料に近い電磁波シールド効果を得ることができるめっき処理です。
アマルファによるエッチング処理
アマルファは、化学的エッチングにて金属の表面に微細で複雑な凸凹形状を形成する硫酸過酸化水素系のマイクロエッチング剤であり、エッチング後の凸凹部分に溶かした樹脂を流し込み接合することで、より樹脂と金属を強固に接合することができます。